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大企業であれば、生活支援も可能で、それにより生活の質の向上が可能かもしれない。
それでも、従来は金を使っていなかったところに、企業があらたに金を費やす必要はどうしてもでてしまう。
むしろ国の狙いなのではないだろうか。
健康管理を企業ごとにもっと徹底させようとしているのだ。
他の企業でも自転車通勤を社員にすすめるなど、さまざまな取り組みが行われている。
こうしたことを考えると、「基準をクリアしないと罰則が待っている」という国の誘導がうまく機能しているということもできるだろう。
もし、こういった企業の生活支援がうまくいくなら、メタボ健診のメリットになると考えられる。
健康診断や人間ドックにどこまで意味があるのか。
実際には、その結論は出ていない。
世界的にみても、健康診断を予防医学の中心としてとらえている国は日本くらいしかではないだろうか。
メタボ健診によって、いったい誰が得をするのであろうか。
利害関係だけで考えてみよう。
メタボ健診の本当の狙いは、医療費削減にあるのだろう。
こうした見立ては難しいとみるのが妥当である。
その理由については後述するが、厚生労働省もそれをわかっていながらメタボ健診を実施しようとしているのかもしれない。
健康診断を各健康保険組合にやらせることで、今までの健康診断の費用を民間に任せることになる。
短期的には、その部分は医療費削減になるのかもしれない。
健康診断にかかる費用は誰かが負担するわけであるから、結局、金の出所が変わるだけで、実際には医療費の削減にはならないはずだ。
厚生労働省の試算では、特定健診の対象者は約5700万人で、指導や治療が必要になる人は約1900万人になるとしている。
健診や保健指導で、2015年度までに糖尿病などの生活習慣病とその予備軍を妬%減少させる計画なのだ。
この結果、妬年度には医療費を2兆円削減できるとしている。
この推測を疑う研究者も多い。
健康診断自体が医療費を抑制しないというのは、世界的な医療経済学の視点では常識ともいえる。
健康診断を受け、異常を指摘され、たとえば運動とダイエットで糖尿病が治れば、薬を使わない治療であるから、そこだけみれば医療は削減できると考えるだろう。
人間は永遠に健康ではありえない。
糖尿病で死ななくとも、ガンや認知症で死亡するだろう。
あるいは健康である期間が長引くことで、年金を受給される人が増えるのであるから、社会保障費として大きく考えるなら、結局、金が必要になってくるのだ。
ガンや認知症ということであれば、そこで医療費を使うことになって、長期的にはやはり医療費は上がっていくと考えるのが常識ではないだろうか。
さらに受診者のうち男性の6割、女性の5割は、医療機関の受診が必要になるとされる健診対象者5700万人のうち3000万人が受診するので、診察料だけで5兆円、投薬があれば、さらに費用がかさみ、最終的には医療費はむしろ増えると予測している。
当然の予測であろう。
受診率を上げることが重要となれば、いままで健診を受けていなかった人たちが受診することになる。
つまり潜在的な患者が治療を受けはじめるのであるから、医療費はどうみても上がっていくはずである。
もちろん、薬を使わず、日常生活の改善によって病気を治せればいいが、そう簡単にはいかない。
国民健康保険の加入者は、企業を退職した高齢者が多い。
したがって当然、保健指導の対象者が増える。
だから従来の市の健康づくり事業などより費用は3倍以上に膨らむ、と考える自治体もある。
また、いくら熱心に指導しても、それを続けることは不可能に近いので、指導自体に意味がなくなる可能性が高い。
私自身が大学病院の健康管理部にいたときは、人間ドック受診で、高脂血症で異常があった場合、食事指導を口頭でした人と、結果だけを異常であると指摘した人では、1年後のデータには変わりがなかった。
それより、高脂血症で異常が指摘されたら、すぐに投薬したほうが1年後の血液検査結果は正常化していた。
つまり血液検査データだけを正常化させようとするなら、すみやかに病院に行って投薬を受けたほうが、実際には有効な治療である。
そのほうが正常化した人が増えるので、健保組合にもメリットが大きいのではないだろうか。
薬を早めに飲んで正常化したほうが、指導を受け、後期高齢者医療制度の負担額を増やメタボ健診は、実は健診の民営化ともいえる。
自治体で行っていた健康診断を、健康保険組合に行わせるようにしたからだ。
金銭面での最終的なつじつま合わせは、負担金のカットによって行われるから、国は最終的には医療費の削減を狙っているのだろう。
健康な人が一時的に増えても、高齢化社会が進めばガンや認知症の患者数が増えていく。
したがって、いわゆる生活習慣病をこのメタボ健診で予防できたとしてもされるより、いいのかもしれない。
そのあたりは微妙な金の問題もあり、実行率を考えるなら、すぐに投薬するほうが会社のメリットは大きいだろう。
つまり、運動や食事指導という従来からやってきたことが無駄になっている可能性のほうが高い。
生活改善ができないから、肥満になり、高脂血症になっているわけであるから、変えなければいけないのは、目先の食事の量ではなく、会社での仕事量や仕事のストレス、さらにはウォーキングできる環境など、すべてを改善していかねば、いままでと比べてなんら変化はないだろう。
メタボ健診によって、誰がいちばん得をするのであろうか。
建て前は、健康で長生きができる受診者ということになるのであろう。
だが、もちろん高脂血症、降圧薬の処方が増える可能性が高いことを考えると、最もメリットを享受するのは製薬会社であろう。
その証拠には、高血圧やメタボ症候群などの診療指針を作成した国公立大学医学部の医師や講座に、2006年度の場合、総額約262億円(寄付講座を除く)が支払われ、似年度に比べ17%増えている。
そのうち製薬企業は約帥%を占めている厚生労働省はそこまで先を読んでいる可能性はある。
今後、日本人が長寿になっていけば健診の費用が膨らむので、先手を打って、健康診断を民営化したと考えるほうが正しいのかもしれない。
国はメタボ健診の基準値をつくり、その成果だけをチェックしていくという仕組みなので金がかからず、財政的には都合がいい。
医療費が増えると考えるのが妥当であろうし、長寿になることで年金も増えてしまう。
また、07年発表の「高血圧治療ガイドライン」には、9人の委員全員に2年に計約8億2000万円、4年の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」にも、4人の委員いずれにも3年間で計約6億円の寄付が、治療薬メーカーからあった。
日本ではこういった診療指針の作成者と製薬企業の金銭関係について、ルールがきちんとできていない。
これでは、製薬会社とその基準をつくっている医者たちの関係に問題があると指摘されても仕方のないことだろう。
高血圧や高脂血症の基準値を少しでも下げれば、それだけ市場は広がることになる。
製薬会社にとっては、基準値をつくる医者は、打出の小槌のようなものだろう。
できるだけ厳しい基準値のほうが、市場は大きくなり、薬を使う量も増えるからだ。
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